新規事業企画書を作るコツ!経営層を納得させるためのポイントを現役ディレクターが直伝

2021年3月11日

2020年は、コロナ禍でビジネスのあり方を根本的に見直すことを余儀なくされた1年でした。DX(デジタルトランスフォーメーション)も加速する中、業務フローを見直したり、デジタル技術を取り入れた新規事業を検討したりと、新年度のチャレンジに踏み出している方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、ビジネスアイデアを新規事業企画書に落とし込み、その企画書をもって社内提案を通すためのポイントについて、ディレクターバンク所属のプロジェクトマネージャー・清水貴之さんのアドバイスも交えながらご紹介していきます。

アドバイスをくれたのはこの人!

ディレクター清水貴之

プロジェクトマネージャー 清水貴之

WEB制作ディレクター、事業会社でのPRマネージャー、ITコンサルタントを経て独立。サイト構築・運用に加え、ECサイトの運用チーム立て直しから新規事業提案など、WEBの範疇に収まらない幅広い知見あり。

新規事業企画書とは?

新規事業における事業企画書は、その新規事業をスタートさせる承認を得ることが目的ですが、「誰の承認を得たいか」によって、盛り込むべき要素が変わってきます。

その1:社内の承認を得る

社内で新規事業の決裁を行うのは、主に社長や役員など経営層であることが一般的です。経営側の視点で、今、自社が手がけるべき新規事業なのか、投資規模や回収の可能性、把握しておくべきリスクなど、総合的に判断する必要があります。

その2:外部の承認を得る

社内の決裁以外にも、金融機関から融資を得るための企画書を提出したり、取引先や販売会社など関係者向けに新規事業の説明したりすることもあると思います。

清水さんからのアドバイス

誰に対する企画書なのかを意識することに加えて、その企画書が担う役割についても考えておきましょう。その新規事業企画書を用いてどんなプレゼンをしたいのか、プレゼン後にどんな状況になれば成功なのかをイメージしてみてください。決裁者からの承認を取りに行くのか、部門内で同意を得るのか、など目的によって企画書の構成も自ずと変わってきます。

 

新規事業企画書の構成

新規事業の企画書に盛り込むべき項目は、大きく分けて以下の8項目です。

1. 現状の課題

現状の事業にどんな課題があるかを洗い出し、整理します。

清水さんからのアドバイス

その課題が新規事業を立ち上げることでしか解決できない課題であることが明らかになるようロジックを組み立てることがポイントです。もしその課題が、既存サービスの改善や効率化で解決できるのであれば、新規事業を起こす必要はありません。経営層が本当に新規事業へ踏む込むべきかどうか判断できるようしっかりと課題を言語化し、整理しておきましょう。

これまでに実績のない分野への投資となる新規事業は、企業にとってリスクを負うことと同意になるケースがほとんどです。解決しようとする課題の妥当性は企画書を構成する項目の中でも最重要と言えるので、しっかり検討してください。

 

2. 新規事業を企画した背景

次に、なぜこの新規事業を企画するにいたったのか、という背景を述べます。ここで気をつけたいのが、「こういうデジタル施策がトレンドだから」という外的要因を解説するだけでは不十分であることです。1で述べた課題解決に向けて、外部環境の変化や自社の強みをどう掛け合わせたのかを総合的に説明していくことが大切です。

<注目すべき外部環境>

  • 消費者の動向やトレンド
  • 技術・テクノロジーの動向
  • 競合や業界の動向
  • 政治や法律の動向

<注目すべき内部環境>

  • 人的リソース
  • 商品やサービスの強み
  • 技術力
  • ネットワーク

過去に、[1] スポット案件が多く、売り上げ予測が立てづらいという課題に対して、[2] これまでリアルなイベントが中心だったビジネスモデルをデジタル上で再現し、コンスタントな売り上げを作ることで課題解決につなげる、という新規事業企画のサポートをさせていただきました。

解決が急務な課題に対して、デジタルシフトというトレンドも交えつつ、自社の強みを活かした事業内容として承認され、予算が通った経験があります。「こういう新規事業をやってみたい」という企画側の想いだけでなく、「今、自社が着手すべき事業だ」と決裁者に思わせるようなストーリーが描けると良いと思います。

 

3. 事業・サービス内容

顧客となるターゲットは誰で、どんな商品またはサービスを提供するのか、など、事業の全容を具体的に説明します。

 

4. 市場規模

市場調査

ターゲットがどれだけ存在していて、需要はどのくらいで、売り上げ規模はどの程度が見込まれるのかを、データを使って示します。統計などの公的なデータや、顧客・関係者へのインタビューやアンケート結果など、適切なエビデンスを添えることが大切です。

社運をかけて新規事業に投資しようとしている経営層にとって、儲かるかどうかは最大の関心事です。これまで実績のない領域へ足を踏み入れるわけですから、わからないことが多いのは当然。利益が見込めることがわかる客観的データを提示しつつ、安心材料を伝えることはとても重要です。

 

5. 競合調査

競合する既存サービスがあるかどうか、その状況(売り上げや経営状況)はどうか、などを調査し、まとめます。

4で述べた市場規模は十分でも、すでに競合がひしめいているようなマーケットであれば、参入障壁は高くなります。競合サービスとの差別化ができ優位に立てる見込みがあるかどうかも合わせて解説をしていきましょう。

 

6. 売り上げ計画

売り上げ計画を立てる

新規事業企画書を作成する段階で、精度の高い収支計画を作成することは難しいですが、なぜこの売り上げになる想定なのか、ロジックを丁寧に示しながら計画を練ります。経営層が最も気にする黒字化が予想される時期、撤退基準を明確にする必要があります。

 

7. 予算と体制

6の売り上げ計画を実行する上で、必要な予算と体制についてシミュレーションしていきます。

検討すべき事項は以下の通りです。

  • 初期投資額はどの程度か(システム導入・構築など)
  • 社内のどんなメンバーを集めるべきか
  • 部門連携が必要なのか
  • 社外のリソースは必要か

8. 問題や懸念

どんな事業にも必ず問題や懸念は存在します。大切なのは、それを把握した上で企画をしているということが決裁者に伝わることです。問題や懸念を払拭するために、何をしようとしているかも添えられると良いでしょう。

 

新規事業企画書を作成する上での注意点

上記の流れに沿って企画書を作る上で、留意すべきポイントがあるそうです。

決裁者も人間なので、読みやすい企画書であることが大切です。難しい専門用語は避け、相手がわかる表現を心がけてください。決裁者である経営層は忙しいことが多く、プレゼンの時間も15分程度に収めてくれと言われることがほとんどです。企画書全体を15〜20ページに収めた上で、サマリーを1ページ作っておくと良いでしょう。

また、最重要とお伝えした現状の課題整理などに行き詰まったら、社内にいるメンバーにカジュアルに語ってみると、客観的な視点を得られたり、企画のヒントがもらえたりします。もしそこで、共感を得られたなら、その企画書は“伝わる企画書”である証拠なので、あとは自信を持ってプレゼンに臨むだけです。

 

プレゼンまでに必ず準備したい質問回答集

直接プレゼンをする場で、経営層は考えの深さを確認するために「あえて」の質問を投げかけることがあります。質問内容を想定し、回答を事前に対策をしておくことは必須です。

企画の良し悪しはやってみないとわからない、というのが正直なところです。それは経営層も重々理解しているので、プレゼン時に確認したいのは担当者の本気度です。

それを確認するための質問に対して、不明瞭な回答だったり、回答するまでに時間がかかったりすると、決裁者は不安に感じます。不安に感じてしまうと、「もうちょっとしっかり考えてから出直してこい」と言われてしまいがちなので、想定される質問に対して、明確な回答ができるよう準備をしておきましょう。

 

キーパーソンへの根回しは忘れずに!

新規事業企画書のプレゼン前に根回しを

経営者には、信頼している相談役が必ず数人いますが、そういう人を味方につけておくと、承認を得やすくなります。まずはキーパーソンとなる人が誰なのかをリサーチし、事前に新規事業企画についてフィードバックをもらいながら、その人に納得してもらえるような企画書にブラッシュアップしておきましょう。

経営者は、プレゼンされた時点で即判断をせず、一度持ち帰ります。その間に相談役に意見を求めながら、承認するかどうかを判断するのです。その時に、事前に根回ししておいたキーパーソンたちが企画に賛同している状況であれば、経営者の背中を押してくれることになります。

さいごに

コロナ禍など、外部環境の急激な変化に伴い、新規事業の立ち上げの必要に迫られている方もいらっしゃるかもしれません。

もし、新規事業企画書の作成の前に、アイデア出しで苦戦されているようでしたら、お気軽にディレクターバンクへご相談ください。経験豊富なディレクターが、ビジネスアイデアの模索や現状課題の整理なども、伴走させていただきます。誰かに相談してみると、ふと企画のヒントや解決の糸口が見つかることもあると思います。

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福田貴子

WebメディアやSNS企業アカウントの運用中心にコンテンツ企画、制作ディレクション、ライティングまで幅広くこなす。元PRプランナー、デジタルマーケティングコンサルタントを経て2016年に独立。2020年より見積もり相場ガイド2代目編集長に就任。