Web担当者のためのマーケティング・ノウハウガイド

ソーシャルリスニングサービスの最新相場調査:2019年11月版

2019年11月13日

(2017年7月版のレポートに追加調査を行い、更新したものです)

商品開発やプロモーションにTwitterやFacebook、インスタグラムなどのSNSを活用する企業が増えています。しかし、SNS上の膨大な投稿データからなにを分析したら良いかわからない、自社でアカウントを運用しているものの管理しきれない、あるいは効果が見えないといったWeb担当者の声も耳にします。

そこで役立つのが、ソーシャルリスニングツールです。ソーシャルリスニングでは、SNSの投稿データを分析し、市場調査や競合調査を行います。また、自社アカウントの運用管理や効果測定ができるSNS分析ツールもあります。本記事では、ソーシャルリスニングツールについて、それぞれの特徴や相場感を調査しました。
→ ソーシャルリスニングの運用代行なら「Web担アシスト」

ソーシャルリスニングとは?

ソーシャルリスニングとは、SNSの投稿データから次のような分析をするツールです。

  • 業界のトレンド、ユーザーニーズなどの市場調査
  • 自社、競合を含めたブランド調査

SNSの投稿からは、より率直なユーザーの考えや行動を読み取ることができます。そのため、商品開発やWebマーケティング施策の企画などに活用されるほか、炎上対策にもなります。

日本国内で主流のSNSは、Twitter、Facebook、インスタグラムです。いずれにも対応できるツールもあれば、いずれかに特化したツールもあります。Twitterは拡散力が強いですが、インスタグラムは若い世代や美容・ファッションに強いなど、SNSごとの特徴があるので、商材やターゲット層に強いSNSを分析できるツールを選ぶ必要があります。

また、上記の分析に加えて、次のような機能があるSNS分析ツールもあります。自社でアカウントを運営している場合は、こういった機能のあるツールを選ぶと良いでしょう。

  • 自社アカウントの運用管理、投稿の効果測定
  • キャンペーンなどプロモーション施策の効果測定

ソーシャルリスニングサービスの最新相場調査

1.コミュニケーションエクスプローラ(株式会社サイバー・コミュニケーションズ)

株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)が提供するソーシャルリスニングツール。CCIは、インターネット広告に関する事業を幅広く展開、メディアと広告主・広告会社双方に向けたソリューションを提供しています。その中で誕生したのがソーシャルリスニングツールです。

ツールの特徴

  • 最大420日間のTwitter投稿数(全数)を短時間でカウント
  • Twitterデータは2007年から全量データで提供
  • 文脈から判断した感性(ポジネガ)の判定方法(3段階、48種類の感性を抽出)
  • 1アカウントで複数名利用できるなど、低コストで利用可能
  • 活用するデータの深堀調査ポイントの発見の速さ

利用者の特徴

  • B to C向け業種のクライアントが多い(飲料、ゲーム、食品、映画など)
  • プロモーションを企業に対し提案している企業の利用も多い (Web制作会社、ネット広告代理店、コンサルティング会社など)
  • 製品・サービスの改善、PRの効果検証に有効

「低コストで早く、マーケティング活動・商品企画・営業企画・リスク管理に活用できるデータが欲しいといった課題が多いです。利用目的が明確になっているか確認の上、ソーシャルリスニングをご検討いただけると、有効的にご活用いただけます」。(CCI 担当者)

中心価格帯

初期費用:10万円(税別)
月額費用:14万円(税別)~

「検討の際に、気をつけていただきたい事が2つあります。 1つ目は、ソーシャルリスニングは主に過去と現在、自社と競合他社などの、"データを比較する"ことになります。従って、ポジティブ、ネガティブ判定のデータ精度が高いこと、比較できる媒体データが多いものをご検討ください。2つ目は導入後にコストUPの懸念が少ないサービスを選択することになります。調査対象期間等、利用したいデータの変更によりコストが大きく変わるサービスがございますのでこの点もご注意ください」。(CCI 担当者)

→ 詳しくはこちら(コミュニケーションエクスプローラーのサイトへ)

2.Boom Research(ブーム リサーチ)

株式会社トライバルメディアハウスが開発、提供。トライバルメディアハウスは、定番から最新の手法まで、マーケティングに精通している会社。コンサルティングを始め、マーケティングツールの開発やメディア運営も手掛けている。ソーシャルメディアマーケティングにも強い。

ツールの特長

  • 国内主要ブログの90%以上、250以上のWEBニュース媒体やTwitter全量データの分析が可能
  • コンサルティングおよびソーシャルリスニングレポートの作成も対応
  • 3年2ヶ月の期間を遡ることができる

「操作は3ステップで完了し、分かりやすいインターフェイスで利用しやすいツールとなっています。3年2ヶ月の期間遡ることができるのはソーシャルリスニング業界でも最長です」。(株式会社トライバルメディアハウス 担当者)

利用者の特徴

  • ソーシャルメディア上のユーザー評価を把握、分析したい企業

中心価格帯

初期費用:10万円
月額費用:19万円(プロフェッショナルプラン)
※利用期間:6ヶ月~
※以下の4プランがある

  • ライトプラン:月額12万円
  • ベーシックプラン:月額16万円
  • プロフェッショナルプラン:月額19万円
  • エンタープライズプラン:月額34万円

※分析データ量が月30万件以上の場合、10万件追加で月額1万円

「1ヶ月目で目的やKPIの認識、2〜3ヶ月目で分析の切り口や軸を定めるとともに、社内共有資料の作成や展開をするなどツールの活用範囲を適時拡大し、4ヶ月目以降でPDCAサイクルを実施します」。 (株式会社トライバルメディアハウス 担当者)

→ 詳しくはこちら(Boom Researchのサイトへ)

3.クチコミ@係長

株式会社ホットリンクが提供するソーシャルリスニングツール。ホットリンクは、ソーシャル・ビッグデータの収集と、それらのを支援するクチコミ@係長を始めとしたクラウドサービスを提供しています。また、分析エンジン・UIの開発、それらを基軸としたコンサルティング事業も展開。

ツールの特長

  • 検索できるデータソース数は590億
  • Twitterは全ツイートをカバー
  • 累計利用者数約19000社

「検索条件は1度に最大10条件まで利用できます。これを最大限活用することや、男女、地域、年代、職業など多様な切り口で深く調査することで、うまくツールを活用することができます」。(株式会社ホットリンク 担当者)

利用者の特徴

以下のような課題が多い。

  • プロモーションの効果測定がしたい
  • 市場調査による現状把握のため

中心価格帯

初期費用:10万円~
月額費用:15万円前後
利用期間:6ヶ月~

  • モニタリングのデータソース数により料金変動
  • Twitterや2ちゃんねるなどのデータソース追加で月額2万円

→ 詳しくはこちら(クチコミ@係長のサイトへ)

4.Insight Intelligence Q(インサイト・インテリジェンスQ)

データセクション株式会社が運営するソーシャルリスニングツール。ソーシャルメディア分析ではツール提供だけでなくリサーチも手掛ける。その他、風評リスク対策やAI画像分析、オンラインデータ収集・分析をベースとしたソリューション開発など、データ収集・分析に関して独自のシステム開発を得意とする。

ツールの特長・ツール活用による効果

  • マーケター視点でわかりやすいデータをアウトプット
  • SNS上の膨大なデータを収集、分析するシステムを独自開発
  • 拡散プロセス機能:話題のワード・テーマの拡散過程を分析できる
  • アカウント分析機能:特定のアカウントの投稿を分析できる
  • Twitterに特化して分析。必要に応じて他のSNSも扱う可能性あり

「『Insight Intelligence Q』は、弊社が2011年から提供してきたソーシャルメディアリスニングツール『Insight Intelligence』をリニューアルしたもので、現在は両方を並行して提供しています。機能で競うというよりも、マーケターがほしい切り口でアウトプットをするという点が、このツールの他とは違う位置づけです」。(データセクション株式会社 担当者)

利用者の特徴

  • 広告代理店、PRエージェンシーの利用が多い
  • 自社ブランドを複数もつ食品・日用品メーカーの利用も多い
  • 商品PR、商品開発に活用される

「たとえば、『歯磨き』に関するSNS上の投稿を分析することで、歯磨きに関する商品の意外な利用シーンが見つかるかもしれません。それがPRのヒントになったり、商品開発のヒントになったりします」。(データセクション株式会社 担当者)

中心価格帯

初期費用:無料
月額費用:10万円(税別)

  • 2週間の無料トライアルあり
  • データ量に関わらず定額

→ 詳しくはこちら(insight intelligence Qのサイトへ)

編集部のまとめ

  1. .調査母数(問い合わせした企業数):9社
  2. 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):4社
  3. ソーシャルリスニングサービスの中心価格帯は次の通りとなりました。
    1)初期費用:10万円
    2)月額費用:15万円前後

ソーシャルリスニングツールでは、TwitterやFacebook、インスタグラムなどのSNSを始めとして、ツールによってはブログやニュースサイト、口コミサイトなど、膨大なユーザーの投稿データを分析できます。

ただ、商材やターゲット層によって必要なSNSのデータは異なるので、まずはそれに対応したツールを選ぶと良いでしょう。たとえばTwitterの分析だけで良いなど、分析データが狭まればその分料金を抑えることもできます。初期費用がかからないツールもあります。

ソーシャルリスニングツールをうまく活用するには、分析データの活用目的を明確にすることが重要です。たとえば、商品開発のヒントを探すのか、自社のブランド評価を調査するのか、販促施策のための市場調査なのかなど、目的によってデータ分析の対象や方法が変わります。

ソーシャルリスニングツールのなかには、自社アカウントの運用管理や投稿の効果検証ができるものもあり、SNS分析ツールとも呼ばれます。自社でアカウントを運用している場合は、そういった機能も含むツールが便利です。あるいは、ツール活用も含めたソーシャルメディア(SNS)運用を代行する方法もあります。
編集部では、調査にご協力いただける企業を随時募集しています。 調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。

https://www.webtanguide.jp/contact

調査実施概要
  • 更新1回目:2018年4月24日〜2018年5月8日
  • 更新2回目:2019年10月28日〜2019年11月10日
  • 調査方法:インターネット調査及び電話取材にて実施

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