教えて、先輩マーケター!インスタグラムの効果測定ってどうすればいいの?

2020年6月25日

連載企画「新米担当におすすめ!SNSマーケターへの道」。第3回は「インスタグラムの効果検証」がテーマです。運用するだけで手いっぱいになりがちなSNSですが、マーケティング施策として効果を生むためには検証することは必要不可欠!先輩マーケター・テテマーチの松重秀平さんに、効果測定の重要性や具体的なPDCAの回し方についてインタビューしてきました!

テテマーチ松重様 テテマーチ株式会社 松重 秀平さん

《会社概要》オウンドメディアの運営やSNSアカウントの運用コンサルティング、分析ツール開発等、さまざまなサービスをもって企業のSNS活用を支援。未知なる価値の創出と追求により今の“できない”を“できる”に変えることをミッションに掲げる。(本社:東京都品川区、代表取締役社長:上田大介、2015年設立。)

インタビュー担当はディレクターバンクの高野です!
新米SNS担当 高野

なぜ効果測定が必要なの?

ディレクターバンク高野(以下、DB高野):松重さん、よろしくお願いいたします。御社はインスタグラムの分析ツールを提供していらっしゃるということで、今日は効果測定について色々教えていただければと思います!

テテマーチ松重さん(以下、敬称略):こちらこそ、よろしくお願いいたします。インスタグラムなどのSNSは無料で始められる手軽さはありますが、担当者の稼働費やコンテンツ制作費などコストは発生しているので、他のマーケティング施策と同じように費用対効果を意識することは大切ですよね。

DB高野:確かに。アカウント開設前にゴール(KGI:Key Goal Indicator)設定をすることの大切さは学んできましたが、そのKGI達成のための具体的な効果検証の方法はまだぼんやりしています。

テテマーチ松重:Web広告であれば、クリック数やコンバージョン数などの数字が追いやすく、売り上げにどう貢献しているか、いわゆる費用対効果が計測がしすいのですが、インスタグラムの費用対効果は見えづらいのが特徴です。だからこそ、「こういう効果を生んでいるのではないか?」という仮説を立て、PDCAを回し続けることが大切です。

SNS運用に王道なし!ひたすらPDCAを回すべし

DB高野:あの…、PDCAを回すって具体的にはどうすることなのでしょうか?初歩的な質問で恐縮です!!

テテマーチ松重:大丈夫です笑。一言で言うとユーザーにとって価値のあるコンテンツは何か?を常に考えながら日々データと向き合うことです。

例えばアパレルブランドの場合、以下のようなABテストが考えられます。

・モデル着用時の画像とアイテム単体の画像を比較
・モデル着用画像の中でも、顔まで写っている画像とアイテムのみ画像を比較
・複数アイテムの紹介と1点のみの紹介

こういう感じでそれぞれの投稿を比較しながら、「ユーザーがより多くリアクションしたコンテンツは何か」「より多くのユーザーにリーチしたコンテンツは何か」と探っていきます。

DB高野:そんなに細かく…。かなり地道な検証ですね。

テテマーチ松重:おっしゃる通りです。「インスタ映え」という言葉が流行ったこともあり、インスタグラムはセンスが良い投稿さえ続けていればいいと思われがちなSNSですが、成功しているアカウントの運用者の方は、データを見ながらPDCAをひたらすら回されています。日々、細かくABテストを繰り返しながら、ユーザーに喜んでもらえるコンテンツの傾向を見つけ出し、再現性のあるコンテンツ企画・制作を続けています。

DB高野:担当者のセンス任せ、というわけではないんですね。

インスタグラム運用のKPIを設定してみよう!

KPI設定

テテマーチ松重:そして、そのPDCAを回す際に大切なのがKPIの設定です。

DB高野:KPI(Key Performance Indicator)!設定しているKGIの達成度合いを測る数値目標のことですね!

テテマーチ松重:はい、その通りです。インスタグラムの企業アカウント運用において、多くの場合は、以下の3つをKPIとすることが多いようです。

・フォロワー数
・自社サイトやLPなどへの誘導数
・エンゲージメント数(いいね数/コメント数/保存数など)

特にフォロワー数はパッと目につく数字でもあり、最もメジャーなKPIだと思います。

DB高野:どのKPIを設定すればいいのかわからないときは、どうすればいいんですか?

テテマーチ松重:どんなマーケティング手法も最終的には売り上げUPを目指していると思いますが、そこへたどり着くシナリオはさまざま。インスタグラムを運用する目的に立ち返ってみてください。例えば、新規顧客との接点を増やす、ブランド認知度や好意度をアップさせる、顧客とのコミュニケーション量を増やす、など。自社の現状を踏まえたマーケティングシナリオが見えてくれば、自ずとKPIが定まってくると思いますよ。

DB高野:なるほど。例えば、自社ブランドの認知度を高めたいと思った場合は、フォロワー数をKPIにしても良いわけですね。フォローしてくれている人たちは、日々私たちの投稿を見てくれているわけですから!

テテマーチ松重:…と言いたいところなのですが、実は、そう単純なものではないのです。

DB高野:え?

テテマーチ松重:インスタグラムでは、ユーザーにとって価値のあるアカウントの投稿をより優先的に表示させるという独自のアルゴリズムが働いていて、タイムラインに投稿が流れてきても全くリアクションをしないでいると、そのアカウントは「そのユーザーにとって価値がない」とみなされ、表示頻度自体が下がってしまうわけです。

いま注目すべきKPIは、いいね数より保存数!?

DB高野:そんな〜!せっかく投稿しても表示すらされていないなんて…。ちゃんと投稿をたくさんの方に届けるにはどうすればいいんですか?

テテマーチ松重:このアルゴリズム自体は開示されていないのですが、弊社の分析結果からいくつか見えてきたこともあります。例えば、弊社の分析ツールをご利用いただいている2万件以上のアカウントを分析したところ、「保存数」とインプレッションやリーチ数との相関が徐々に高まっている傾向が確認されました。逆に「いいね数」はインプレッションやリーチ数との相関が徐々に弱まっています。

2019年初頭までは「いいね数」が非常に重要な指標だったのですが、2019年末には「保存数」の重要性が高まりました。つまり、保存数の多いコンテンツが、ユーザーにとって価値のあるコンテンツだと評価されてきているのです。

DB高野:ユーザーが保存したくなるコンテンツ作りを目指せば、日々の投稿やアカウントの露出チャンスを増やせる、というわけですね。

テテマーチ松重:はい、現時点ではそのような見解を持っています。ただ、インスタグラムは新機能リリースやアップデートのスピードが早いプラットフォームなので、引き続き検証を続け変化にクイックに対応していくことが大切です。

ベンチマークアカウントと比較検証してみよう!

SNS運用の効果測定

DB高野:効果検証のプロセスのイメージがだんだん具体的になってきました!

テテマーチ松重:良かったです。もう一つ、効果検証していくうえで大切なことは、ベンチマークするアカウントをいくつか決めて比較検証をしていくことです。自社分析だけをして右肩上がりに成長していたとしても、その状態が良いのか悪いのか判断がつかないと思います。経営陣に報告をしても、きっと「それってどんな意味があるの?」というリアクションが返ってきてしまうと思います。そうならないよう、自社の状況を俯瞰する視点が必要です。

DB高野:なるほど。ちなみに、ベンチマークって同業他社のアカウントのことですか?

テテマーチ松重:同業他社をベンチマークできればベストですが、インスタ運営をしていない場合や運用方針がまったく違うなどベンチマーク先として効果的でないときは、視野を広げて“競合となるアカウント”を見つけるといいと思います。

例えば、コーヒースクールのアカウントであれば、業界は違っても「スクール・学び」という切り口でベンチマークするアカウントが見つかるでしょうし、高級ジャムのアカウントであれば、その商品を購入するターゲットが興味を持ちそうな他の商品や生活用品のアカウントからベンチマーク先を見つけられると思います。

中長期的には、KPIの見直しも大切!

DB高野:だんだん頭がパンクしそうになってきましたが(笑)、大きな流れとして、KPI設定、ABテストの実施と効果検証、そしてベンチマーク先との比較検証、ですね。

テテマーチ松重:はい。できることから、ぜひ実践してみてください。そして、しばらく経過したタイミングで、「KGIの達成に近づいているか」という原点に立ち返ってKPIの見直しをすると良いと思います。フォロワー数は伸びているが、購買層のターゲットとかけ離れたユーザーだけが集まっていたり、エンゲージメントは高いが全く売り上げにつながっていなかったり、というケースも少なくありません。マーケティング施策として機能していないなと気づいた場合は、運用戦略の再設計に入る勇気も必要です。

DB高野:わかりました!また壁にぶつかったらご相談させていただきます。本日はありがとうございました!

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福田貴子

WebメディアやSNS企業アカウントの運用中心にコンテンツ企画、制作ディレクション、ライティングまで幅広くこなす。元PRプランナー、デジタルマーケティングコンサルタントを経て2016年に独立。2020年より見積もり相場ガイド2代目編集長に就任。