オウンドメディアのKPI設定とは?

2023年8月24日

こんな課題をお持ちのWebマーケティング担当者向けの記事です

オウンドメディアをこれから構築する、もしくは既に運用しているWebマーケティング担当者の以下の課題にお答えする記事です。

  • 自社のオウンドメディア運用にフィットしたKPI設定を知りたい
  • オウンドメディア運用でどの指標を見ればいいのか、KPI設定に困っている
  • オウンドメディア運用でKPI設定をしていく方法を具体的に知りたい

このような課題をお持ちの方に、この記事ではオウンドメディアのKPI設定について、KGIとKPIの違い、具体的にどのような項目を設定するべきか、KPI設定時の注意点などについて解説します。オウンドメディアのKPI設定に自信を持つための第一歩をこの記事から始めましょう。

なお、オウンドメディアの効果的な構築方法と最新事例については、以下の記事も合わせて参考にしてください。

オウンドメディアの作り方解説
オウンドメディアとは?効果的な構築方法と最新成功事例紹介

「オウンドメディアを実施したいけど社内をうまく説得できない」「オウンドメディアに興味があるがどう構築していいかわからない」などでお悩みのWebマーケティング担当者の方は多いのではないでしょうか。 この ...

オウンドメディアのKGI/KPIとは?

オウンドメディアのKGI/KPIとは?

KPI、KGIとは?

KPI(Key Performance Indicatorの略)の設定について知るためには、まず、KGIについて知る必要があります。KGIとは、「Key Goal Indicator」の略で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。これは、企業や部署、事業などにおける、四半期や半年、一年などの中長期的なスパンでの最終目標値のことです。

KPIは、このKGIの達成度合いを評価するための、業務・施策単位での定量的な指標です。「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指数」と訳されます。

KPIは、ひとつのKGIに対して複数設定されることがあります。また、1週間や1カ月程度の比較的短いスパンで見直され、状況に応じて変更することもあります。KPIは、KGIを達成するためのプロセスといえます。

オウンドメディアのKGI

オウンドメディアにおけるKGIとは、オウンドメディアの運用目的であり、オウンドメディアがあることで関連する企業や部署、事業にどんなメリットをもたらしたいか、を測る指標になります。具体的には、次のような指標が考えられ、これらはオウンドメディア運用においては「コンバージョン(CV)ポイント」「成果」と呼ばれます。

運用目的を明確にするため、オウンドメディアが成長するまではKGIは1つだけを設定することをおすすめします。

  • 商品掲載サイトや自社Webサイトへの送客数
  • オウンドメディア経由の売上
  • 資料ダウンロード数
  • メルマガ・会員登録数
  • 採用応募数
  • イベント等の申込数
  • 問い合わせ数 など

オウンドメディアのKPI

これらのKGIを達成するために設定されるのが「オウンドメディアのKPI」です。オウンドメディア運用の目的達成に向けて、現状の良し悪しを判断する基準として設定し、運用改善のヒントを探るために活用します。

具体的には以下のような数字がKPIとして設定されることが一般的です。KGIと異なり、KPIは複数設定することをおすすめします。

  • 検索順位
  • Googleのインデックス数
  • PV数(表示回数)
  • UU数(ユーザー数)
  • セッション数
  • エンゲージメント数(GA4で計測)
  • 直帰率、離脱率
  • 滞在時間、回遊状況
  • 記事作成数 など

また、SNSやメルマガなど複数の媒体からオウンドメディアへ流入させている場合は、それぞれの媒体からのリンククリック数・遷移数もオウンドメディアのコンテンツ評価の補助的なKPI(サブKPI)となります。

これらの数値はGoogle Search ConsoleやGoogle Analyticsなどで数値を取得できますが、有料ツールを利用すると効率的にレポートを作成することができます。

なぜオウンドメディアのKPI設定が大切なのか?

オウンドメディア運用においてKPIを設定することが重要な理由としては、次の点があげられます。

作成すべきオウンドメディアコンテンツが明確化される

オウンドメディアにおいて、KPIはKGIを達成するためにどのようなコンテンツ作成や改善が必要か、考えるヒントになります。

たとえば、PV数を上げるのであれば、まずは流入してもらうためのコンテンツを作成する必要があり、直帰率や離脱率を改善するのであれば、流入元とコンテンツ内容の齟齬がないかを見直す必要があります。

コンテンツのアイデア出しにはさまざまな方法がありますが、KPI設定があれば、何を目的としてそれらのコンテンツを作成・改善すれば良いのか、方向性が明確になります。

オウンドメディアのPDCAが回しやすくなる

オウンドメディア運用では、何を指標として良いか分からない、効果が出ているのか分からない、という状況が起こりがちです。

KPIを設定すれば、KPIを指標として各コンテンツの効果検証を行い、達成できなかった場合はコンテンツの改善を行うというように、PDCAを回しやすくなります。

KPI設定により、PDCAサイクルのスピードが上がり、KGI達成に向けてより多くの改善を重ねられます。

メンバー間での意思疎通がスムーズに

オウンドメディアの運用には、マーケティングや制作、営業などの複数のチームメンバーが関わります。社内のメンバーだけでなく、外注業者や社外のフリーランスに業務を委託することもあるでしょう。

そういった体制でも、KPI設定により、オウンドメディアコンテンツの方向性について共通認識を持つことができます。

たとえば、マーケティング視点で数字の取りやすいコンテンツと、制作視点で望ましいコンテンツというのは食い違うことがあります。しかし、KPIは何かということに立ち戻ることで、KPIを達成するためにはどのようなコンテンツが望ましいのかという共通の視点に立ったコミュニケーションが可能です。

また、KPIに対してコンテンツを作成して、その効果検証を重ねることで、どういったコンテンツが効果的なのかという共通の知見も徐々に蓄積されます。

具体的なオウンドメディアのKPIの設定方法とそのポイント

具体的なオウンドメディアのKPIの設定方法とそのポイント

オウンドメディアの適切なKPI設定とは?

適切なKPI設定とは、次の条件を満たす必要があります。

  • 施策の実施により直接改善できる
  • 改善することでKGIに影響する
  • 日・週・月などの短期かつ定期的に、リアルタイムのデータ取得が可能

また、KPI設定におけるフレームワークとして「SMARTモデル」と呼ばれるフレームワークがあります。このフレームワークを参考に、自社のオウンドメディアで設定するKPIが以下の5項目に沿っているかを確認しましょう。

S=Specific(明確であること)
M=Measurable(計測ができること)
A=Archievable(達成可能であること)
R=Relevant(目標との関連性があること)
T=Time-bound(期限が明確であること)

オウンドメディアのKPI設定3パターン

KPIとする項目や具体的な数値などの目標を設定する方法としては、次のような方法があります。

  • ゴールから逆算する:KGIを達成するために必要な施策と指標を細分化して設定します。もっとも一般的なKPI設定方法です。
  • 競合を分析する:競合メディアがあり、参考になる数字が公開されている場合は、それを参考にします。たとえば、記事の更新頻度やSNSのエンゲージ数などが分かりやすい数字です。数字が公開されていない場合、Similar-Webや競合調査ツールを利用してページビューや被リンクの状況などを調査することが可能です。
  • 過去実績を基にする:過去に同様の施策を実施したことがある場合、その数値を参考にします。運用代行業者などに外注する場合は、類似業種や他社事例を参考にシミュレーションをしてもらう事も可能です。

オウンドメディアの運用目的が「資料請求」である場合、成果である資料請求を増やすためには以下の施策が考えられます。

  • サイト全体アクセスを増やす
  • サイト内の導線を改善する
  • 資料請求フォームを見直す
  • 広告を出稿する

さらに、サイト全体のアクセスを増やす施策としては以下のような施策があります。

  • 新規記事を作成する
  • 既存記事をリライトする
  • SNS、メルマガからの導線を強化する
  • 他サイトからの誘導を強化する

このように目的達成のために実施する施策の中から、注力する施策の評価基準としてKPIを設定します。

オウンドメディアのKPIツリーを作ろう

KPIを設定するときに作成したいのが、下図のようなKPIツリーです。

オウンドメディアKPIツリー

KGI達成には、ひとつではなく複数の施策とそのKPIが関係しています。KPIツリーを作成することで、KGI達成のために、どのようなKPIがどのように関係しているかを視覚化できます。

その上で、各施策についてPDCAを回し、そのKPIが最適なのかどうか、どの施策に注力することでもっともKGI達成に貢献できるのかを探っていきましょう。

オウンドメディアのKPI・失敗しないための注意点

KPI設定を失敗しないために、次の点に注意しましょう。

過大評価・過小評価をしない

KPI設定は、「攻めすぎず守りに入りすぎず」が理想です。
攻めすぎずというのは、用意できる社内体制やリソースを鑑みて、実現可能な数字にするということ。守りに入りすぎずというのは、あまりに簡単に達成できる数字にしないということです。

また、はじめに設定したKPIを絶対に守らないといけないというわけではなく、施策の進捗に合わせて上方・下方修正することも必要です。
現状を踏まえた調整をしながら、現実的かつ達成感のあるKPIを設定することが、チームのモチベーション維持にもつながります。

根拠のあるオウンドメディアのKPI仮説を立てる

KPI設定は、根拠となる情報やデータを基に、仮説を立ててKPIを設定することが理想です。
もし根拠となる情報やデータが不足している場合は、まずは着手した後にその結果を基にこまめにKPIを調整していきましょう。例えば新規記事のPV数を推定するときは過去の記事から推定したり、メルマガからの流入するユーザー数を推定するときは過去のクリック率などから数値を予測します。

また、施策とKPIの関係、KPIとKGIの関係についても仮説検証していくことが重要です。KPIはKGI達成のために設定するため、KPIの数値が増えてもKGIが思うように増えない場合、KPIの状況を検討した上で別のKPIを検討する方がKGI達成のために効果的である事もあります。

オウンドメディアの現状やビジネス形態によってKPIを変える

日々オウンドメディアを運用する中で、課題が変化するたびに施策やKPIも変化します。

一例として、オウンドメディア構築直後は検索順位が上位になりにくいため、検索エンジンからの集客が課題となり、施策としては新規記事数を増やして検索エンジンで上位表示される記事を増やすことが目標となり、その場合KPIは記事数や検索順位になります。また、検索エンジン以外の集客を目的に、SNSなどでの集客に関するKPIを設定する事もあります。

また、BtoBビジネスの場合、オウンドメディアを読むだけで契約(売上)につながる件数は少ないため、導入事例や知り得たノウハウなどを「お役立ち資料」としてホワイトペーパーの形式で公開します。その場合、ダウンロード時に担当者情報を入力してもらうことでリードを獲得することができるため、ホワイトペーパーダウンロード数がKGIやKPIになることがあります。

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社内だけでオウンドメディアの運用が難しければ外部委託も活用

オウンドメディアは長期的に運営することで成果が出るメディアであり、継続的にコンテンツ作成やレポート作成の工数が発生します。

例えばKPIとしてユーザー数を流入元毎に計測する場合、オウンドメディアへの流入元としてはSEOやWeb広告の他、SNSやメルマガなどの多くの経路からユーザーが訪問します。このようにKPIとして設定した項目を増やすほど追うべき数字が増えていき、レポート作成の工数も増加します。

KPI達成のためにはどのコンテンツをどう改善すれば良いのか、多数のコンテンツのなかをユーザーがどう回遊しているのかなど、コンテンツが増えるほどに、ここでも追うべき数字が増えていきます。そのため、コンテンツや施策が充実するほどにPDCAを回すのが難しくなっていき、KPI達成に向けて結果が伸び悩むということも起こりがちです。

このようにオウンドメディア運営において社内だけでは解決できない課題が増えてきた場合、オウンドメディア運用の経験やノウハウを持つ会社に外部委託してみるのもひとつの方法です。記事作成やレポート作成の代行だけでなく、運用全体を包括的に委託する事も可能です。

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まとめ

オウンドメディアでも他のWebマーケティング施策でも、KPIの基本的な考え方は変わりません。まずはオウンドメディアを運用する目的に直結するKGIを明確にした上で、達成のためにどのような施策とKPIが必要なのかを探ります。

オウンドメディアを運用する際は複数の流入元と多数のコンテンツがあることで、どのKPIを重視すべきか優先順位がわからなくなったりオウンドメディアが抱える課題によってKPIが変化するため、KPIを定期的に見直すなど仮説検証を繰り返すことが必要です。

アクセス数を増やしたい場合は検索順位を上げるための施策や集客強化に関する施策を実施するため、これらの数値がKPIとなります。また、売上や問い合わせなどのコンバージョンを増やしたい場合は全体のアクセス数だけでなく特定の集客媒体からの集客数や、収益記事と呼ばれる成果が生まれやすい記事にフォーカスした数値がKPIとなるなど、オウンドメディアの状況によってKPIは日々変化することになります。

オウンドメディアの課題を検討し、日々の運用の中でコンテンツの作成やKPIの動向についてレポートを作成するなど、社内の体制やリソースに無理がある場合は、オウンドメディア運用の代行やコンサルティングサービスも役立ちます。

ディレクターバンクではオウンドメディアの企画段階から運用開始後のお悩み解決まで、様々なオウンドメディアに関するご相談を承っております。KPIの設定や効率的なレポート作成などでお困りの方は是非一度弊社までお問い合わせください。

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山口優

2017年にIT企業を退社しフリーランスとなる。自ら企画したブログメディアやSNSを中心としたマーケティング活動を行なっている。現在は動画製作とHubSpotを勉強中。