(2017年12月版のレポートに追加調査を行い、更新したものです)
メールはWebマーケティングの重要なツールのひとつです。顧客と連絡を取るだけでなく、メルマガやステップメールなど、商品やセールの案内、顧客との関係性構築に活用できます。多数の送信先にメールを送る場合、「メール配信システム」の導入をおすすめします。メール配信システムでは、送信先のメールアドレスや氏名など顧客情報のリストに基づきメールを自動配信できるので、配信ミスを防ぎ、メールの作成から配信、配信後の管理までを効率化します。その他、配信後の情報分析やHTMLメルマガの配信など、サービスごとさまざまな機能があります。本記事では、メール配信システムについて、主要なサービスと機能、その相場感を調査しました。
メール配信システムとは?
サービスによって機能に違いはありますが、一般的にメール配信システムの機能には、1.メール作成、2.メール配信、3.効果測定、4.配信リスト管理があります。
(1)メール作成
- テキストメールの作成
- HTMLメールの作成
- 顧客氏名の本文中への差し込みなど、Webマーケティングに効果的な機能あり
(2)メール配信
- 登録メールアドレスに一括配信
- 顧客属性ごとに一括配信
- 配信予約・重複配信の防止
(3)効果測定
- HTMLメールの開封率や、本文中のURLクリック率を測定可能
- 配信エラーの原因を解析する機能が備わっていることも多い
(4)配信リスト管理
- 顧客のメールアドレス、氏名などの情報管理
- 顧客属性によるセグメント
- 効果測定の結果を反映
有料版・無料版の違い
メール配信システムのなかには、無料で利用できるサービスもあります。有料版と無料版の違いとしては、以下の点があげられます。
有料版のメール配信システム
- 配信数、登録アドレス数など利用量に応じた料金体系
- 基本のメール作成・配信以外にも利用できる機能が多い
- 無料トライアル期間が設けられているサービスもある
無料版のメール配信システム
- 配信数、登録アドレス数など利用量に制限がある
- 基本のメール作成・配信はできるが、それ以外の機能の利用制限がある
- サービス提供事業者などの広告が表示される場合がある
メール配信システムを選ぶ際は、予定しているメール配信の頻度・数に対応できるか、希望する機能が備わっているかを確認しましょう。
また、有料版の無料トライアルや無料版の利用で、そのメール配信システムの使いやすさや、サポート体制についても確認すると良いでしょう
(月間配信数5,000件を想定にした費用感を調査)
メール配信システムの最新相場調査
1.Cuenote FC(ユミルリンク株式会社)
「Cuenote FC」を提供するユミルリンク株式会社は、主軸としてeメールメッセージング・マーケティングソリューション「Cuenote®」をクラウドサービスとして提供。その他「ソフトウエアプロダクト事業」「システムインテグレーション事業」「ネットワークマネジメント事業」も展開している。
サービスの特長
- 「画像をドラッグ・アンド・ドロップで挿入可能」「レイアウトを自由に変更できる」等の機能で、素材が揃っていれば数分でHTMLメールを作成可能
- システム連携APIで、会員データーベースやECサイトと連携したメール送信が可能
- PC、携帯、スマートフォンなど、ISP(プロバイダー)を問わずメール送信が可能
- 独自開発の配信エンジン(MTA)で高速メール送信可能 ・導入実績1,200社、月間のメール配信数36億通の実績
- 提供開始から10年以上の間で蓄積したノウハウ
「毎月1〜2回の頻度でメール配信システムについてのセミナーを開催しています。現在利用されている方はもちろん、検討中の方も参加されるので、実際の運用方法を含めて様々なことをアドバイスしております。」(ユミルリンク株式会社担当者T氏)
利用者の特徴
- EC事業者、メーカー、自治体、新聞社、金融関係など多様な業界で利用
- BtoCとしてのメール配信を利用するケースが多い
価格、導入イメージ
- 初期費用:約50,000円
- 中心価格帯 :約10,000円/月
2.メールスマート(株式会社リーフワークス)
メールスマートを提供する株式会社リーフワークスは「制作事業」「広告事業」、「ECストア事業」という、3つのWEBサービスをおもに提供している。その他、求人サイトの構築から運営までをサポートする事業も展開している。
サービスの特長
- 複数のボード(顧客リスト)を管理できるので、顧客のデータに合わせて様々な配信リストを作成することが可能
- 顧客情報の任意項目を自由に差し込んで配信することが可能
- 手元のリストをCSVインポートすることで、簡単にメール配信が可能
「メールフォームにてお問い合わせ頂ければ、活用事例についてのアドバイスが可能です」(株式会社リーフワークス担当者S氏)
利用者の特徴
- BtoBでのメール配信活用が多い
価格、導入イメージ
- ダウンロード版: 約98,000円(初期費用)
- ASP版:約9,800円/月
(ダウンロード版の場合、メールスマートを設置するサーバーを用意する必要あり。多数のレンタルサーバーに対応。)
3.める配くん(株式会社ディライトフル)
める配くんを提供する株式会社ディライトフルは、Eメール配信システムをASPで提供。インターネットマーケティングやシステム構築のノウハウを活かしたシステム開発とEコマース事業をメインに展開。インターネットの活用に関するコンサルティング業務も行っており、ビジネス目標や、段階的な拡張ニーズにあわせたシステムを提案している。
サービスの特長
- 2017 年11月現在も1,000社以上が利用の実績あり
- 使いやすいインターフェースを念頭において開発されている
- 無料プラン有り(登録アドレス数120件まで)
「電話サポートにも対応しています。また、弊社でチームユニフォームのEコマース事業を行っているので、同種の業界については効果的な配信時間などの具体的なアドバイスが可能です」(株式会社ディライトフル担当者I氏)
利用者の特徴
- IR PR、イーコマースを展開する企業や、観光庁、農協などの業種で活用、その他個人でのサービス利用も多い
価格、導入イメージ
- 初期費用:約8,000円
- 中心価格帯 :約2,000円/月
4.メール商人(株式会社イー・エム・ズィー)
「メール商人」を提供する株式会社イー・エム・ズィーは、中小企業を中心にインターネットマーケティングをASPサービスで支援。中心サービスは、メール配信システムの「メール商人」、ホームページ制作に必要な機能をオールインワンした「ウェブ商人」、オンラインキャンペーン支援システム「プロモ商人」の3つ。また、マーケティングスキルアップを支援するためのメールマーケティングセミナーを定期的に開催しています。
サービスの特長
- 「メール配信」、「ステップメール」、「入力フォーム作成」の3機能を中心にメールマーケティングを実践するための機能がオールインワンになったシステム
- 30日間無料ですべての機能を使うことができる
- HTMLメールテンプレートやセグメントメールなど、メールマーケティングに必要な各種機能を装備
「利用前のお客様に向けたメールマーケティングセミナーと、利用されているお客様に向けた基礎操作説明と個別相談会を毎週無料で行っています」(株式会社イー・エム・ズィー担当者K氏)
利用者の特徴
- Eコマース企業をはじめとして幅広い企業で使われている
価格、導入イメージ
- 初期費用:約5,000円
- 中心価格帯 :4,000円/月
5.配配メール(株式会社ラクス)
「配配メール」を提供する株式会社ラクスは、IT技術を駆使して、業務効率化を促進するクラウドサービスの提供を主軸にサービスを提供。主な事業内容は、「クラウドサービス」「レンタルサーバー」「IT技術者派遣」の3つ。元々、IT技術者を育てるためのスクーリング事業を行っていたため、IT技術者を育成するノウハウを社内に抱えており、それぞれの案件に合ったエンジニアを自社で育成し、提案している。
サービスの特長
- 簡単な操作でPC操作に慣れない人でも、マニュアルなしで直感的に使うことができる
- 導入前には専属の営業担当が訪問による機能説明や運用提案、他社事例の紹介を行っており、導入後も専任のサポートスタッフに無料で電話相談することが可能
- 現在(2017年11月)の利用企業は5,000社以上
- 人的サポート体制で、メールマーケティングの導入を支援
「営業担当やサポートスタッフが、コンテンツの改善方法や配信のタイミングなど、具体的なアドバイスをすることも可能です」(株式会社ラクス担当者I氏)
利用者の特徴
- サービス業、情報サービス業、システム開発、広告代理店、ECサイト、マーケティング系の企業、EC企業、などの割合がやや多い
価格、導入イメージ
- 初期費用:約10,000円
- 中心価格帯 :10,000円/月
(データベースに登録されたメールアドレス数に応じて費用は変動する)
6.さぶみっと!メール配信(株式会社イー・エージェンシー)
「さぶみっと!」メール配信を提供する株式会社イー・エージェンシーは、マーケティングツールの導入・活用でデジタルマーケティングを支援。データ活用・分析から改善までをサポートし、成果を出すためのサイト改善に取り組んでいます。中国・ASEAN地域に進出してのEC運用構築や、訪日外国人向けの多言語化サービスやアプリ、地域創生のビジネスも展開している。
サービスの特長
- サービス提供から15年
- 4000社以上の実績があり、開始時から使い続けている利用者が多い
- 14日間無料の「無料トライアル」で実際の使用感を試すことが可能
- ECサイトで使う場合には、API連携が必要な場合があるため、同社が提供している別のメール配信システム「API.Mail」を使う利用者が多い
利用者の特徴
- 個人から様々な業種・業態の企業まで幅広く使われている
- 個人の利用者では、イベント関連の告知、同窓会のお知らせ、学校の連絡網などにも使われている。
価格、導入イメージ
- 初期費用:無料
- 中心価格帯:2,000円/月
7.VSP-NEO(ピーアールジャパン株式会社)
ピーアールジャパン株式会社が提供するメール配信システム。メルマガ、ステップメールを簡単に作成、配信できる。ピーアールジャパン社は、インターネット黎明期より時代のニーズに応じたサービスを提供してきた。現在はメール配信サービスを中心に、HP制作、SEO対策などのサービスも提供している。
サービスの特長
- 顧客ごとに独自サーバー、IP提供による到達率の高さ
- 使いやすく、多様な機能の充実
- ビジュアルなHTMLメールが簡単に作成
期待できる効果
- 見込み客のリスト化、コミュニケーション
- 見込み客への購入販促効果
- イベントなどへの告知
利用者の特徴
- マイビジネス(小規模法人事業種、個人事業主)の利用が多い
- 集客・集客からの顧客化が課題になっていることが多い
代表的な活用事例
- 広告などで集めた見込み客に対して、ステップメールを配信、自社サービス・商品の良さを理解してもらい、販促につなげる
- 顧客へのアフターフォーローから、リピート販売、クロスセル、アップセルなどの自動化
- キャンペーンなどのプッシュ広告として利用
価格、導入イメージ
下記のエントリーコースの利用が多い。
- 初期費用:5,000円
- 月額費用:4,500円
- エントリーコースは月間リスト数2,500名まで
- 月間リスト数5,000名までは初期費用5000円+月額5,800円ブロンズコース
8.ワイメール(株式会社イグレックス)
株式会社イグレックスのメール配信システム。イグレックス社は、Webアプリケーションや通信コミュニケーションシステムの運営、インターネット広告代理業などを手掛けている。また、メール配信システムの他、日本酒の情報を検索できる「日本酒.wiki」、「謎解き脱出ルームTRICK BOX」など多彩なサービスを提供。
サービスの特長
- ユーザごとに完全に独立した配信環境
- 配信数・読者登録数・ストーリー作成数無制限
- 独自ドメイン持ち込み可能
- 業界初のIDMS機能搭載
利用者の特徴
- 個人事業主・中小企業の利用が多い
よくある課題
- 複数のステップメール、メルマガを同時に運営したい
- 配信数に伴いコストが大きくなるのを避けたい
- 医院・サロンの予約リマインドや、契約更新のお知らせなど、特定の日付や期間を設定して自動でメールを送りたい
価格、導入イメージ
下記の毎月自動継続の契約が多い。
- 初期費用:10,500円
- 月額費用:4,980円
- エ配信数による料金の変動なし
9. arara messaging solution(アララメッセージングソリューション)(アララ株式会社)
アララ株式会社のメール配信システム。アララ社は、電子マネー/CRM事業、メッセージング事業、データセキュリティ事業、AR事業、QRコード関連事業など、Webマーケティングに欠かせない分野から、今話題のサービスやツールまでを含む幅広い事業を展開している。
サービスの特長
- 配信管理システム、API、エンジンが分かれており、用途に応じ組み合わせた導入が可能
- 大量配信ができる
- 到達性が安定している
- 「月間配信ユニークメールアドレス数に応じた従量課金」が配信頻度の高い企業に好評
- 10年以上の自社開発実績、運用ノウハウの提供やシステム構築サポートあり
期待できる効果
- メール配信をよりお客様目線で密着して行うことで、リピーター獲得に繋がる
利用者の特徴
- コンテンツ事業者、EC事業者、金融機関、自治体など様々な業種・業界
- メールをフックに顧客に何かしらの発信をしたいという課題が多い
代表的な活用事例
- 予約確認などの業務系メールや販促系メールでの活用
- 地震速報など緊急性、速報性が求められるお知らせの配信
価格、導入イメージ
用途により価格が異なるため非公開
編集部のまとめ
今回の調査概要
- 調査母数(問い合わせした企業数):初回16社/更新7社
- 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):初回6社/更新3社
- メール配信システムの中心的価格帯は次の通りとなりました
- 初期費用:5,000円~10,000円程度
- 月額費用:2,000〜10,000円程度
メール配信システムには、ASP型とダウンロード型がありますが、現在主流のサービスはASP型です。ASP型では、サーバーの用意などの準備が必要なく、すぐに利用開始できて、初期費用・月額費用ともに抑えることができます。
多くのメール配信システムでは、月ごとのメール配信数やメールアドレスの登録数で料金が変動します。メール配信システムの導入を検討する場合、どのくらいの配信数・登録数を予定しているかを明確にしておくと良いでしょう。
また、メール配信システムの機能や、連携できるシステム(API連携など)によっても料金は変動します。シンプルなメール配信のみで良いなら料金は抑えられます。
一方、顧客属性別のメルマガやステップメール、配信後の詳細な分析など、Webマーケティングの施策としてより複雑な複数のメール管理をおこなうなら、多少コストがかかっても、機能が充実したシステムを選ぶほうが良いでしょう。
調査実施概要
- 期間(初回):2017年11月1日〜2017年11月15日
- 期間(更新):2018年12月17日〜2018年12月21日
- 調査方法:インターネット調査及び電話・メール取材にて実施